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保護犬・保護猫カフェ 川西店

保護犬・保護猫ちゃん達の新しい家族を探しています!

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エメトちゃんの卒業

おはようございます。
更新が遅くなりました。
1月21日金曜日、ビーグルのエメトちゃんにご縁が繋がり、卒業しました
少し長くなりますが、お付き合いください。



エメトちゃんがカフェに来てくれたのは、昨年6月15日のことでした。

梅雨、夏、秋、冬。
7か月余りをカフェで過ごし、そしてその間、50頭を超える仲間の卒業を見送って来ました。

エメトは普段ポーカフェイスです。

卒業のこの日も、自分の番が来たのにやっぱりいつも通りのポーカーフェイス。

見送りに来てくれたボランティアさんに見送られ、エメトらしく、淡々と卒業して行きました。

でもこの7か月の間で・・
私は色んな表情を見せてくれるエメトを見て来ました。

ワンちゃんにおやつを取られそうになると激しく怒ったり、
厨房に入ればオヤツもらえると思って入れて欲しくて大音量で鳴いたり。

入れてもらえると、ずっとおやつを探してひたすらウロウロ(笑)
オヤツをあげると必ずベッドベッドを探してそこで食べていたし。

お気に入りのドームベッド・・

気がつけば原型をとどめないほどぺったんこになっていたけれど、やっぱりそのベッドが好きでずっとそこに寝ていて
お尻が見えてても、身体が少し入っていればそれでOK。らしい。

チャロとは仲良しで、くっつき率多め。

日頃はだいたいは侵入防止柵の前でおやつ待ち。

時折見せてくれる本当に可愛い飛び切りの笑顔。
シッポはいつだってピンと上向き。

色々なところに潜み
ベンチの上に乗ったり




入口は開けているのに、ケージの中でまるで囚われの身のように鳴いたり笑
たまにお客様のお飲み物を狙ったり
玄関の入口ドアを鼻で開けたり
時々猫部屋に執着。

そんなエメトの日常を撮った写真は、ゆうに600枚を超えていました。

私はエメトが大好き。
そう公言してはばかりませんでした。
何故なのか、私にも理由はわかりません。
懐いてくれていたのかどうかも定かではありません。
鳴くと大音量。
時折ワンちゃんをアタックすることがあり、要注意犬。

川西で引き受けた時、
「同保護のワンちゃんと仲が悪く他のワンちゃんとトラブルになる可能性がある」
との引継ぎを受け、私がフロアにいない時にはケージの中で過ごしました。

いえ、最初はケージに入ってもらってのスタートでした。

そしてフロアケージに入ると鳴きました。
他の皆んなが外で過ごしているのに、出して欲しいと鳴き続けていました。
おそるおそる、ちょっとだけ出してみては入れる。
エメトとの最初はそんな始まりで・・。
今のように自由にフロアに出れたのは、少し時間が経ってからでした。
それでも、ちょこまかするワンちゃんがいるとトラブルにならないように第二ゾーン。

オヤツの時間は第二ゾーンにいる確率は高めでした。


ブリーダーがほぼ崩壊している現場からの保護。
年齢も推定、妊娠の有無も、疾患も、性格も最初は何も分からなくて。
記録にすら何も残っていなかったです。
目が悪くて、そのせいで表情があまりありませんでした。

眼球と黒目が小さい「小眼球」。
眼球はというのは、その機能を失うと小さくなります。
視力を失っている目。
最初に病院で診てもらったときに、そう言われました。
でもカフェに帰って来ても、見えているような動き。
隙間もぶつからずに歩けるし、猫部屋の猫にも吠えるし・・。

翌日、目から血が流れていたので慌てて病院へ。

おそらく、瞼のところにあるできものがが擦れて血が出ただけだろうとのことでした。
でもその時、散瞳してしっかり診てもらったから、目が見えていることが分かりました。
エメトの黒目の真ん中は白内障。
黒目の残りの部分(周囲)は眼底まで光を通していました。
分かりやすく言えば、目の真ん中に碁石があって視界を塞がれているような見え方。
眼球が小さいのも、おそらく生まれつきかもしれないとの診断でした。

見えていて良かった。
視力を失っていなくて良かった。
そう思って嬉しかったです。
また右耳はずっと汚れて耳垂れがひどくて、洗浄しても点耳薬をしても全然良くならなくて。

お耳の垢を培養してもらって、抗生剤を飲んでもらって、二週間後には完治しています。

身体は大き目で、最初体重は13㎏くらい。
きっと大食漢だと思いましたが、最初はご飯を残しました。
ドライだけでは全く手も付けません。
ウエットを混ぜてもダメ。
色んなウェットを試して、更に手からあげて・・。
やっとこさ完食。
…そんな日が何日か続きました。
便もゆるい時が多くて、ダイエットも必要だからと消化器系の低脂肪のご飯に変更。
でもそのころから緊張が解けたのか、なんでもしっかり食べるようになりました。
現在では体重は11㎏台まで落ち、食いしん坊さん。
で、オヤツ命。

オヤツの時間は横取り番長なゆえ、抱っこされて順番にもらっていました。

ビーグルの性格は明るく朗らか。
協調性もあると言われています。
でも・・その生立ちはエメトにとってきっと過酷だったはず。
だから吠えたてる犬に向かっていくこともありましたし、食べ物を取られそうになると頑固に死守し、威嚇や口がでることもありました。
でも本当は好戦的ではありません。
ワンちゃん仲良く過ごせるときもたくさんありました。
エメトにちょっかいを掛けるワンちゃんもいたけれど、
大きな背中にしょっちゅう乗られていたことも何度もあるけれど、
まるで気にしておらず、背中に乗せたまま歩いていることもあったでした。

保護経緯と視力。
そして強そうに見えていても、最初は慣れない環境の中でもがいていたエメト。
人は大好きで、人には絶対に危害を加えることなく過ごしてくれたこと。
私がエメトを好きになった理由は、そんなところにあったのではないかと思います。

エメトのエピソードは、色々あります。
まずは賢いことです。
とにかく厨房に入りたい。
厨房には食べ物の匂いがいっぱい。
でもその前に侵入防止柵が立ちはだかっています。
その柵はスライドしないと開けれない・・。
でもある日、エメトはそのスライドバーを見事に鼻と前足を使ってスライドして開けました。

なら、こちらも重しを置いて防御。
エメトと柵との攻防戦な日々…。

でもそれも最後には開けてしまって…笑
それならばと、改良してもらって簡単にはスライドできないようにストッパーを取り付けてもらいました。

ある日、まるでイリュージョンのように防止柵の向こう側にいたエメト。
そのストッパーさえも鼻を使って簡単に解除したのには、本当に驚かされました。


そして嗅覚が並外れていること。
ビーグルは犬の中でもダントツの嗅覚を持っているため、麻薬探知犬として活躍をしています。
だから、だれかが厨房でご飯を食べたり、ワンちゃんのオヤツを解凍していたりすると、例の侵入防止柵の前で誰よりも早く待機します。

またフロアに落ちているちっちゃなおやつのかけらも見逃さないです。
食いしん坊過ぎることに加えて、すぐに感づかれてしまう。

肥満気味なので、ブロッコリーを湯がいたのをあげたりしていました。

そんな毎日が日常になり、気がつけば何か月も過ぎていました。
ビーグルを好きな方がエメトを見に来られることも何度かありました。
ですが、お家が決まることはありませんでした。
決まらない理由はわかりません。
でも私は、それでもいいと思いました。
年齢や、見た目や、既往症。
きっとそんなに若くは無いし、もっとビーグルらしい可愛さを備えているワンちゃんもいると思います。
でも一緒に過ごすことでたくさんの事が見えてきます。
エメトの可愛さが分かります。

ありのままのエメトを気に入ってくださって、一緒に過ごしたいと思ってくださって、エメトを可愛いと思ってくださるお家。
そして本当に温かなお家へ。
川西は、長くお家が決まらない子は素敵なお家が決まるというジンクスがあります。
その時が必ず来ると信じて待っていました。

里親様が最初にカフェに来てくださったのは、1月12日の水曜日でした。
カフェに来られて、エメトに会いに来たとお伝えくださいました。
以前ビーグルがいらっしゃったそうで、ビーグルの名前はつぶよちゃん。

地方の保健所にいて、期限があと1日に迫っていたことをお知りになり、お車を飛ばして引き取りに行かれたそうです。
ですが、その時に罹患していたフィラリアが原因で昨年末命を落としてしまったとお話しくださいました。
その後、SNSでエメトの事を知ってくださって会いに来てくださったそうです。

里親様のお家には現在2頭のフレブルがいらっしゃいます。
1頭は女子のアンジュちゃん、6歳。

もう一頭は男子のオトジロウくん、11歳。

この日、エメトの既往症や譲渡に関することをお伝えさせていただきましたが、もしエメトをお考えくださるとしたら、フレブルちゃん達との相性も見ていただいた方がいいのでは、とお伝えさせていただきました。

そして再度お越しくださったのが4日後の日曜日。
アンジュちゃんとオトジロウくんを連れて、ご主人とお嬢様もご一緒に来てくださいました。
オトジロウくんはいたって平和でおとなしいタイプのワンちゃん。
一方アンジュちゃんは甘えん坊で、ちょっと焼きもち焼き。
他のワンちゃんを抱っこしていると怒ったりすることもあるとのこと。
色々なことを想定して、エメトを抱っこしていただいたり、ケージで相性を見たり、バックヤードで相性を見たりさせいただきました。

私の最大の懸念は、エメトが威嚇しないかどうか。
でもそれは全くありませんでした。
この時はあまり問題なく過ごしてくれていて、お互い興味もない感じでした。
まずまず・・な様子をおつたえさせていただき、とりあずは終了しました。

そして更に3日後の水曜日、奥様お一人でご来店くださいました。
少しアンジュちゃんとのことが気がかりなことを正直にお伝えくださり、ご相談したいとのことでした。

私は、一緒に過ごしてみないと分からないことと、なんかエメトへの想いを必死にお伝えしただけで・・ご納得いただけるお答えはきっとお伝え出来ていなかったと思います。
でもその時、奥様は目に涙を溜めて聞いてくださっていました。
だからもしお断りになられたとしても、こんなに優しく温かな方に想ってもらえたことが、ただただ本当に嬉しく思いました。
なので・・翌日お電話をくださってエメトをお家に迎えたいとお伝えいただいた時、信じられない気持ちと嬉しい気持ちが重なって、その場にいたエメトを抱きしめながら大泣きしてしまいました。

卒業は、その翌日の金曜日。
アンジュちゃんと一緒に来てくださって、ご契約の後、晴れてエメトはお家の子にしていただきました。

エメトにとって、長いトンネルを抜けた日。
もちろん新しい環境に慣れるまでには少し時間が必要になると思います。
でも、ヒアリングシートに書いてくださったエメトを選んでくださった理由。
「これからを幸せに暮らして欲しかったから」。
何度も声を詰まらせられながら、涙を溜められながら、この言葉に込めてくださった想い。
私も泣きながら感謝の言葉をお伝えしていました。

卒業を見送るために来てくれたボランティアさんにオヤツのお土産をもらって、更にはあのぺったんこに変形したドームベッドも嫁入り道具で持たせてもらって…大拍手で賑やかに送り出してもらったエメト。
私はただただ頑張れと心でエールを送り続け、大変だったけれど楽しかったエメトとの日々を噛み締めていました。

里親様へ

多分お引受けくださるのには、きっととても悩まれたことと思います。
でも、里親様の温かで優しいお心に触れさせていただき、本当に嬉しくて胸がいっぱいになりました。
エメトのことをご理解くださり、お家に迎えていただき心から感謝しています。
これからアンジュちゃんやオトジロウくんとの共同生活に慣れるまで、少し時間が必要になると思います。
でもきっと時間が解決してくれるはずですので、見守っていただけましたら幸いです。
どうかよろしくお願い致します。

帰られてから里親様からいただいたメールには、少し固まって過ごすエメトの様子をお伝えくださいました。
でも何とかご飯は完食してくれたみたいです。

「いつか必ずうちに来て良かった~とエメちゃんに思ってもらえるように、焦らずがんばります
そうお書きくださいました。

そして大好きエメちゃんへ

7か月間エメちゃんと過ごした思い出はたくさんあるけれど
とにかく厨房へ入る、入れない・・の攻防戦だったように思うよ(笑)
ついつい負けてしまって、オヤツをあげてしまって・・。
またもらえると思って、入りたがったよね。
でもジャーキーだって瞬殺(笑)
それじゃ太ってしまうからとお弁当に入れていたブロッコリーをあげたら
大好評。
それからブロッコリーを湯がくのが日課になった。
エメちゃんが卒業しても、
そのしみついた癖がまだ抜けなくて
ちょっと寂しく思います。

でもエメもお家に慣れるまで頑張って。
私も頑張るから。
食べ過ぎに注意して
身体に気を付けて
ゆっくりで大丈夫だから
明るい楽しい毎日を心から願います。

エメ、楽しい日々をありがとう。
そして本当に卒業おめでとう

エメトちゃんの新しい名前は・・・。
「エメちゃん」になりました。
まだ新しい環境で不安な中、エメちゃんと呼ぶと反応してくれるので…と言っていただきました。
里親様、ありがとうございました。

最後に・・。
エメトのお洋服を作ってくださったEさん、Sさん。
毎日重いエメトを遊歩道まで抱っこしてお散歩に行ってくださったボランティアの皆さん。

卒業に駆けつけ、見送ってくださったボランティアの皆さん。
本当にありがとうございました。

では。

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